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2025年1月20日、米ワシントンの「キャピタルワン・アリーナ」で、大統領令に署名するトランプ大統領=ロイター
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 トランプ米大統領が就任初日の20日、前回選挙でバイデン氏の勝利を阻もうと連邦議会議事堂を襲撃した支持者ら約1500人について、一斉に釈放したり減刑したりした。日本では「恩赦」と呼ばれる大統領権限の発動だ。「法治国家」と矛盾しないのか。国内外の恩赦に詳しい龍谷大学の石塚伸一・名誉教授に聞いた。

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 時代によってばらつきはあるものの、恩赦の制度は古くからヨーロッパでもアジアでもあります。日本では8世紀初めには使われた例があり、イギリスでは「王室特権」の一つとされています。

 今回の恩赦は、誰が見ても恣意(しい)的なものでした。ですが、恩赦が恣意的・政治的になるのは、今に始まったことではありません。

 アメリカでは大統領が任期の終わりにする「節目の恩赦」が多く、オバマ元大統領は約2千件の恩赦をしました。

 バイデン前大統領も、自身の政策だった死刑廃止を実現できず、任期の最後に死刑確定者の多くを終身刑に減刑しました。銃の違法所持で有罪評決を受けた息子にも恩赦を与えました。

「権力の乱用」と批判され

 日本ではときの自民党政権が1968年、身内救済のため、公民権を停止されていた選挙違反者を大量に復権させました。「明治100年記念恩赦」と言われるものです。権力の乱用と批判され、これによって政治利用されるイメージがつきました。

 韓国では80年代に、軍事政…

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